酒・ドラッグ・男、そして巨大なショービスの世界に翻弄された歌姫の軌跡「Amy」

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どうしても映画館で見ておきたかったドキュメンタリー映画をやっと鑑賞することができた。

イギリス人歌手エイミー・ワインハウスのドキュメンタリー映画だ。

彼女を知ったのは、以前渋谷のHMVで働いていた2006年、彼女のセカンドアルバム『Back To Black」が発売された頃だ。
世界的には前作『Frank』で人気を集め、2ndで世界的に一気に世界を席巻、この日本でも発売当初はまだ日本盤は発売されていなかったが、輸入盤だけでもかなり売れた記憶がある。
まぁ、それでも全世界で1200万枚以上も売っているモンスター級のアルバム、そして彼女の認知度は、ここ日本では世界との格差はあっただろうが、それでも、彼女がルーツとしているジャズ系の音楽好きのみならず、ソウル、ロック(実際当時HMVでもSoul、Jazz、Rockと様々なコーナーで商品展開をしていてどのコーナーでも売れていた。)と様々な音楽ファンを魅了していた。

奇抜的な言動や派手プライベートが注目されることも多々あった彼女ではあるが、海外程その点が強調されていなかった日本でも売れたのはやはり、彼女が作り出す音楽・歌声自体が純粋に魅力的だったらに違いない。

本作品の監督は、アイルトン・セナのドキュメンタリー映画「アイルトン・セナ 音速の彼方へ」の監督アシフ・カパディア。
少し話は逸れるが、最近リオ・オリンピックでも各選手の子供の頃の試合の映像がよく放送されているが、1983年生まれのエイミーも年代的に、一般家庭にはビデオカメラが普及していたためだろう。子供の頃のプライベートな映像も劇中では使用されている。このあたりは静止画しか残っていない過去のスターたちのドキュメンタリー映画とは異なる点だろう。

映画の構成は、基本的には、時系列にそって、10代の頃のプライベート、デビュー後の楽曲制作やインタビュー、ライブ映像、プライベートな映像などに関係者の証言が被せられて淡々と進んでいく。
特別に気をてらった演出もない分、彼女のただ歌を歌いたいという純粋な気持ちから音楽業界に入り、一気にスターダムへとのし上り、急激な環境の変化に順応できず、酒・ドラッグ・男に翻弄され、ついにそこから立ち直ることができず27歳の若さでこの世を去るまでの過程が生々しく伝わってくる。
ドキュメンタリーだけにどんな結末が待っているかは分かってはいるのだが、それでも、映画を見終わった直後は、とても痛々しい想いが心を突いてきた。

一言で言うと「やるせない」気持ちだ。

ショービズの世界という一般世界とはかけ離れた世界で生きていくことの大変さは想像を絶するものであるが、ジャンキーのボーイフレンドへの深い愛ゆえに共にドラッグに溺れてしまい、彼女の状況への理解ができていない父親を無下にすることもできない、男運がないと一言で言ってしまえば簡単だが、少しでも違った出会いがあれば、もしかしたら彼女の人生は違ったものになったかもしれないのにと思うと残念だ。
(本筋とは関係ないが、それにしてもあっちのパパラッチは半端ない…)

何万もの熱狂するファンを前に、ステージ上で歌声を披露するエイミー。
数々の賞レースを勝ち、多くの熱狂的な喝采を浴びたエイミー。
しかし、その一方で、自分が良いと信じた音楽をただ歌いたかっただけの純粋に音楽を愛するエイミー。

彼女の2nd『Back To Black』を初めて聴いたとき、言い方が悪いかもしれないけど、なんか場末のバーやキャバレーみたいな場所が凄い合うなぁ、って思った。だからいつか日本でBlueNoteなんかで彼女を観ることができたら最高だなぁと思っていたが、その夢は既に叶わない。

ただ、彼女が残した数多くとはいえないが楽曲の数々は、これからも時代を超えて聴かれていくはずだ。

東京近郊では映画はもうすぐ上映終了となってしまうが、全国的にはまだこれから上映が始まるところもあります。
機会があれば是非彼女の歌声・その歌に込められた歌詞の意味に触れるみてほしいです。

映画『AMY エイミー』公式サイト

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