小学生の頃、テレビゲームが家になかったので、家の中での遊びといえばボードゲームが主流でした。その中でも特に好きだったのが将棋でした。なんで好きだったのか明確な理由は覚えていませんが、戦国自体や幕末などの日本史が好きだったため、「将棋=合戦」のイメージがあったのかもしれません(^^;
両親に買ってもらった詰め将棋や戦法の本を読んだり、テレビで放映されていた対局を見たりして勉強(当時は勉強だなんて思っていませんでしたが)し、それを実践で試す、そしてそれがうまくいって勝てたときの嬉しさは今でも覚えています。
ただ、中学生ぐらいになってからはやらなくなりました。まぁ、周りに将棋を知ってる友達もいませんでしたし、サッカーや陸上などカラダを動かすほうに興味が移ってしまったためです。
こんなとこで僕の拙い将棋遍歴の話は終わりにして、今回ご紹介したい書籍は、プロ棋士・羽生善治さんが書かれた一冊「決断力」です。
羽生善治さんといえば、将棋を全く知らない方でも、その名前はご存知の方が多いはず。竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖のタイトル戦7つをすべて独占した96年は社会的にも大々的に報道されていましたよね。
ちなみに本書を読む前に、僕が報道等を通して羽生さんに対して持っていたイメージは、知的、冷静、物静か、温厚などといった感じです。多くの方もそうではないでしょうか?
ただ、本書を読みはじめて、そのイメージは崩れました。崩れたのとは違うかな。新たなイメージが加わったという感じ。見た目からはあまり想像できませんでしたが、とても「情熱的」「熱い」方なんだなぁと思いました。
プロとして第一線で活躍し続けている羽生さんならではの考え方は、将棋を全く知らない方でも為になる言葉がきっと見つかるはずです。
僕が特に強く心に残ったキーワードは次の3つです。
①リスクをおかす
②空白の時間を作る
③自分一人で考える
少し考えてみれば分かることでしたが、羽生さんは日々プロ棋士として、勝った負けたの勝負の世界に身を置いています。将棋の世界も、他のプロスポーツやビジネスと同様に日々進化を続け、その進化のスピードもまたITの進化により加速しています。
そのような現状で守りに入っていては勝ち続けることができないのだそうです。
守ろう、守ろうとすると後ろ向きになる。新しいものを取り入れるときは経験がないほうが、拒否反応がないのですっと入っていける。また、怖がらないから危ない橋でもどんどん渡れる。
守ろう、守ろうとすると後ろ向きになる。守りたければ攻めなければいけない。私は、自分の将棋は常にそうありたいと思っている。
初めてではどう対処するか非常に難しいが、何事でも一回経験していれば対処しやすい。ゼロと一の差は大きい。夜の闇が暗ければ暗いほど、朝も明るくなるはずだ。
自分とは話のスケールが段違いですが、僕はここ丁度一年前に仕事を変え、全く畑違いの会計事務所で仕事をするようになりました。
当然、日々の業務も知らないことが多いのですが、事務所としてはマニュアルやチェックリストがほぼないので、自分の知識や過去のデータを参考に仕事をすることになります。そんななか小さくてもミスをすると、精神的に守りに入りたくなることがあります。
「過去の処理と同じにすれば間違いないはず」「いまの仕事で手一杯だから新規の仕事はできれば避けたい」などといったマイナス思考です(~~;
それでは進歩がないですよね。明らかにオーバーワークならともかく、目先の失敗を過度に恐れていてはダメだと再認識しました。羽生さんですら攻め続けてるんだから…。
リスクを避けていては、その対戦に勝ったとしてもいい将棋は残すことはできない。次のステップにもならない。それこそ、私にとっては大いなるリスクである。いい結果は生まれない。私は、積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にすると、いつも自分に言い聞かせている。
これは昔から自分の課題だと認識しているのですが、どうも上手く対応できていなのが不安やストレスへの対応方法です。
学生の頃なら部活や恋の悩み、今なら仕事やプライベートで心配事があると、いつまでも頭のどこかに不安な気持ちをいつまでも引っ張ってしまうのです。それがストレスとなって時には嗚咽を繰り返してしまうこともあります。
それをある程度ここ数年軽減できているのは「ジョギング」です。
空白の時間をつくることは、心や頭をリセットすることだ。ぼんやりすることは誰にもできるだろう。仕事や人間関係などを頭からすべて捨て去り、生活の中に空白の時間をつくることは心身のリフレッシュにつながるはずだ。
運動不足解消の為に走り始めたのですが、カラダの調子よりも心の調子を整えるのにとても有効だと感じています。まさに「ジョギング」が僕にとっての「空白の時間」なんです。
夜暗い夜道を、iPhoneで音楽を爆音で聴きながら走るのは、なによりリフレッシュに有効だと実感しています。
あと、自分ができていないけどやはりやったほうがいいと感じたのは次のことです。
私は、対局が終わったら、その日のうちに勝因、敗因の結論を出す。そして、翌日には真っ白な状態でいたいと思っている。勝った将棋もすぐに忘れたい。十代のころは、負けると悔しさを何日も引きずることがあったが、今は、たとえ負けても割合あっさりと忘れられるようになった。
在職中の職場では日報を書くこともないですし、個人的にも日々の振り返りをする習慣が身に付いていないません。やはり簡単でも日々の業務での失敗例や成功例等を記録しておくことが大切なんでしょう。これは年明けの仕事開始から実践してみます。皆様も是非お試しあれ!
僕は基本的にはなんでもかんでもいいものはパクる(吉越浩一郎さんの書籍ではTTP「徹底的にパクる」)を実践していますが、それを実践しつつも心に留めていることは「自分で考える」ことを忘れないようにすることです。
前述の仕事の進め方でもそうなのですが、分からないことがあったとき、過去のデータを見返せば仕事として間違いなくこなせるのかもしれません。
ただ、自分の使える知識として残るのはあれこれ自分で分厚い専門書と格闘して結論を導いたこと(それが誤りであったとしても)だったりします。
私は、自ら努力せずに効率よくやろうとすると、身につくことが少ない気がしている。近道思考で、簡単に手に入れたものは、もしかしたらメッキかもしれない。メッキはすぐに剝げてしまうだろう。
一人で考えるか、それとも何人かの人が集まって知恵を出し合うか、どちらがより有効かは、非常に面白いテーマだ。私は、基本的には一人で考えなくてはいけないと思っている。将棋の場合、対局は一人で考えて答えを見いだしていくのだ。一人で考えていき、あるところまで到達する――そのうえで共同して知恵を出し合うのでなければ意味がないと思っている。
問題はいかに「一人で考える」時間を確保するか? ですね。日々の仕事に忙殺されている状態では、つい「そんな時間があったら、ちゃっちゃか仕事こなして次の仕事に取りかからないと!」ってなっちゃいますからね。
そのために必須なのは「いかに効率的に時間を使うか?」ってことでしょうか。
来年はここを重要課題とするかな(^^)/
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最後に羽生さんにとってのプロとは? に対する答えで締めさせていただきます。
プロらしさとは何か? と問われれば、私は、明らかにアマチュアとは違う特別なものを持っており、その力を、瞬間的ではなく持続できることだと思っている。
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