【書評】好きだからこそ努力が続く_『だから、僕らはこの働き方を選んだ』By馬場正尊,他

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photo credit: Gothia Cup via photopin cc

終身雇用なんて言葉は、大人になる頃にはとっくになかった。景気は悪化し、近年希にみる就職難であるここ数年とまではいかないまでも、僕らが大学の就活をする頃も就職氷河期で、たいして学も無く、技もない大学生の多くは、新卒というブランドを活かすことすらできなかった。

それでも、そんなのは何年も続くもんじゃない。経済は上がったり下がったりするものだから、バブル(そんなのどんなんもんか知らないけど)とはいかないまでも、そのうち景気も良くなれば、好きな仕事もできるようになるし、そこそこお金も稼げるようになるんだろう。

そんな甘い考えを持ってなんとなく(本当はそうでもないのだが…)生きていたら、あっという間に30歳を過ぎていた。昔はアウトロー的な生き方は格好いいと思っていたが、いざ自分がその生き方を実践してみるとその現状は厳しい。仕事のスキルがないことは、年齢と共にじわじわと可能性を奪い、金銭的に困窮していく。そうなると「働き方」なんて甘い言葉は言ってられない。ブラックだろうがグレーだろうが、働ければ御の字だ。
それでもなお、心のどこかではこう思う。
「自分のやりたいことをして生きたい!」
たからこそ、
「朝起きて、自分のやりたいことをやれる人。それが成功者だ」(ボブ・ディラン)
という帯の文字に目が止まり、本書をとったのかもしれない。

かなり話題になったので既に読まれた方は多いかと思いますが、本書は不動産仲介をメインとする不動産会社である「東京R不動産」の創業の中心メンバーである3人の方が、自分たちの会社を実例としてあげながら、「フリーエージェント」という働き方を紹介、そして提案しています。

本書を読み僕自身は、かなりこれからの働き方、そして生き方など影響を受ける箇所が多かったので、いくつかシェアさせていただきます。

好きなことを仕事にすべきか?趣味に留めておくべきか?

「東京R不動産」は2003年に設立された不動産仲介会社だ。不動産仲介会社といえば、皆様どんなイメージを持っているだろうか? 駅前に店舗があって、店舗には図面がいっぱい貼ってあって、社員の人は若い人が多くてついてに押しが強くて、ちょっぴり胡散臭い感じがして…、といった感じではないだろうか?

実は僕も以前、ほんの数ヶ月間だけ不動産管理・仲介の会社に勤めていたことがある。だから分かるのだが、業界全体の体質は結構古くさいし、どの会社も仕事内容やノリは変わらない。

だから、「東京R不動産」は異彩ぶりは際立つ。まず、リアルな店舗がない。集客はウェブサイトのみで行い、お客さんから問い合わせがあったら、外で待ち合わせ内見や契約をするというスタイル。さらに、普通なら当たり前のように「他になんかいい物件探してくださいよ?」みたいな問い合わせは受け付けていない。

つまり、自分たちで調達してきた物件のみで勝負している。普通なら機会損失にも繋がる可能性があるし、顧客満足を考えたら怖くてできないスタイルだが、彼らはそのスタイルを突き通し、それで支持を得ている。
もし、彼らのHPをご覧になったことがない方がいらっしゃったら一度ご覧になってみてください!

RealTokyoEstate-東京R不動産-

そんな一風変わった彼らには働き方として大切にしていることを集約すると下記の4つになるそうだ。

①やりたい仕事をすること
②ちゃんとお金を稼ぐこと
③社会を豊かにすること
④楽しい仲間と働くこと(P17)

この中で、一番気になるのはやはり①ではないだろうか? 昔から「好きなことを仕事にしたい」派と「好きなことは仕事にしないで趣味がいい」派があると思いますが、僕は個人的には前者の立場でした。過去にも雑誌が好きで雑誌編集をやり、音楽が好きだからCD屋さんに勤めた。

この点では彼らと僕自身の考え方は似ている。仕事とプライベートのさかいがなくなることによる新しい仲間や仕事との出会いの利点、そしてそれを幸せと感じる感覚は過去の実感として分かる。

しかし、僕が圧倒的に欠けていた視点は②だった。好きなことやってるからお金は後回し、長時間働いても別にいい、と思っていた。この点を彼らはとことんこだわる。

「好きだから食えなくてもいいんだ」ではなくて、好きなことだからこそ、社会的にきっちり成立させ持続させることに心血をそそく。だから自分たちがストレスなく続けていけるように工夫する。そしてもちろん、好きなことの範囲を広げながら、より充実しようと思いながら働いている。

本書を読んでみると、彼らが様々なところで、好きな仲間と好きな仕事をするために、戦略的に動いているかが分かるし、①と②は相反するものではなく、逆に①と②を突き詰めることによってシナジー効果があるのだと感じた。

フリーエージェントな働き方とは、その利点とは?

本書のタイトルにもなっている「この働き方」というのが「東京R不動産」の雇用形態であるフリーエージェント」なのだが、この概念はアメリカの作家ダニエル・ピンクが提案した概念で、

「正規雇用者として組織に属することなく、他者による時間的、空間的、対人関係的、また職務内容的な制限を受けることなく、本人の自由裁量に基づいて働くこと」(P24)

となる。本書ではこれを更にわかりやすく、プロ野球やプロサッカー選手に例えていている。つまり、チーム(会社)として優勝(業績アップ)という共通の目的のために契約し、個人的な目標達成のために個々が独自に成果を追求するというふうに例えられていて、非常に納得できた。

このスタイルの利点は会社員と独立フリーの良いとこどりであるところだ。独立してフリーとして働くのはある意味自由だが、その分、会社のような規模のメリットを享受することが難しい。かたや、会社員となると組織としての枠組みが煩わしい。

だからこそ、個々がやりたいプロジェクト単位で契約を交わし、プロジェクト終われば解散したり、さらにその事業を拡大したりと自由に動けるスタイルは独立思考が強い彼らに合っていたそうだ。

しかし、良いとこどりといっても、もちろん厳しい面も多々ある。それは、基本的にフリーなので、契約がとれなかったら収入が安定しないこと。極端に言えば、収入がゼロという可能性もあるということだ。だからといって自分の尻を叩いて決起させてくれるような上司がいるわけでもないので、自分のマネジメントは自分でしなければならない。

組織に縛られない自由を得るということは、反対に自己責任を負うということなのだ。

フリーエージェントな働き方で求められる人材とは?

では、このフリーエージェントという組織で仕事をしていくために必要な人材はとういう人なのかというと、本書で書かれているのが、非常に腑に落ちた表現だったので引用させていただくと、
「マジメな変人」
契約などキッチリするところはキッチリ押さえつつも、他の誰とも異なるエッジの効いた存在になることが必要なようだ。一言で「個性」といってしまえばそれまでだが、結構、これはハードルが高いと思う。

 そもそも一生安心できるポジションなんてない。最大の安心は自分が世の中に価値を生み出せる人間であることだと思う。そのためには頑張らないといけないし、そのためにやる気のある状態をキープしないときつい。
そうかんがえると、自分がやりたいと思ったことをやっていないと気持ちもいつかなえる。どんなことをやっていても厳しい局面は必ずある。厳しい状態でも好きだからがんばれる。だから、巡り巡ってやっぱり好きなことをやらないといけないのだ。(P179)

そのための努力。そして努力を継続するために好きなことをやる。なるほど、繋がるワケですね。


今回ご紹介できたのは、本書のほんの一部分。僕自身は今まで順調にキャリアを重ねてきた訳でもないし、ましては今は無職だし…。しかし、本書を読んで、フリーエージェントという働き方、そして、好きなことを仕事にする意味などを知り、自分の進むべき道がハッキリしました。

個人個人は独立していながらも、高いレベルでは相互依存の関係を築く、それは、遅まきながら、最近読んだスティーブン・R・コフィーの名著『7つの習慣』に書かれていた内容とも一致すると感じました。

もぅ、誰もが会社に依存できないことは分かっている、しかし、一人だけでは大きな価値をクリエイトするのは難しいこれからの時代。アメリカではすでに労働者の4分の1程度がフリーエージェントだそうですが、日本もこれから、このような働き方が増えてくるのではないでしょうか?

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