あせらず、くらべず、あきらめず_『潰れない生き方』By高橋克徳

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photo credit: kugel via photo pin cc

「潰れそう」「壊れそう」「死にそう」これらは、いまや日常会話で当たり前のように使われる言葉ですよね。しかし、その使われかたは、ときに軽い印象を受けます。ギャグで言うこともあるでしょうし、特に深い意味もなく使われることもあるでしょうし、もちろん、他人にとってはギャグに聞こえても言った本人にとっては、「HELP!」のサインを発していることもあるでしょう。
僕も人生の殆どの場面では、前者の使い方をしていました、自分が実際に「潰れる」までは…。しかし、実際に自分が「潰れる」経験をしてみると、この「潰れる」という言葉が非常に重く響き、今は気軽に使うことがでいません。もちろん「死にそう!」とかも同様です。
いまだに、その「潰れた」当時の記憶をはっきり自分の中で再現することができないでいるのですが、何はともあれ、この経験をも糧にして、今後の人生を歩んでいかなければいけません。二度と同じような思い(この場合の「思い」は自分自身というより自分の周りの人がですね)をさせないためにも、原因を把握し、対処できるようにならなければいけません。そのために、何か参考になる書籍はないかと思い手にとったのが本書です。

本書はベストセラーになった『不機嫌な職場』の著者の一人である高橋克徳さんが、潰れない生き方とは何か、をテーマに、潰れる人と潰れない人の比較から見えてくる傾向とその原因、そして原因に対する対処方法などが提案されています。
著者自身も過去に追い込まれ、精神的にダメージを受けた経験があるからか、学術書的な問題分析というよりは、実際に日々生きていくなかでどうすれば良いかという対処の面に重きを置かれているようで、僕のように実際に一度「潰れた」経験がある人が立ち直るために、また、今現在「潰れそう」な人が何とか潰れないで踏みとどまるために有益なヒントが本書にはたくさん詰まっています。

まずは「潰れる人」と「潰れない人」の違いを知る

この先、どんなにツライことを経験したとしても、自分だけは実際に「潰れてしまう」ことは無いと、恐らく殆どの方が思っているのではないでしょうか? 僕もそうでした。そのため、仮に自分の身にそんな自体が起こるとしたら、それはとんでもない悲劇に違いないと思うでしょう。
ただ、人は同じようなことを経験・体験したとしても、それぞれ違う反応をするものです。ある人にとっては何でもないことが、ある人にとってはとんでもないと感じるかもしれません。その「反応の違い」が潰れるかどうかの分岐点になっているのだとしたら、まずは、その傾向を知ることがまず大事だと思います。
注目すべきは「潰れない人」の傾向ですが、まずは、「潰れやすい人」に多いのは、現状にただ耐える人、心や体を壊す人、仕事をあきらめた人など、ストレスや様々なプレッシャーやいじめなど、比較的分かりやすい人の他、虚勢を張るような人も壊れやすと人だとされています。このパターンは管理職に多いようですが、

 何もしなければフリーライダー(他人の業績にタダ乗りする人)と思われてしまう。だから、そう思われないために、過度にアピールする、虚勢を張るのです。(P34)

とう見捨てられ不安が背後にあるそうです。
反対に「潰れない人」に見られる傾向は、信念を貫く人、感情表現が豊かな人、うまく受け流せる人、気分をリセット出来る人、仲間がいる人などです。
これらの部分を読んでいて僕はハッとしました。殆どに当てはまらないのです。今は多少は以前よりもマシになっていますが、当時は特にネガティブ思考で、感情の変化はできるだけ周りに悟られないように常に冷静を装い、仕事はなんでも糞真面目に取組みテンパっていました。こりゃ、潰れるわ!と読みながら苦笑してしまいました。
僕自身の体験から確かに大事だなぁと思ったのは、感情表現受け流す技ですね。

 “受け流す”とは、その仕事をしていくうえで最優先すべきことがわかっていて、だからこそたくさんの要求の中でも外してはいけないこと、放っておいても大きな問題が起きないことを見極めることができるということです。(P50)

この技術は、ある程度の経験が無いと難しいかもしれませんが、周りに振り回されないためにも、何をやるにも普段からこのことを意識して、感覚を磨いていく必要があると思いました。
また、感情表現も僕が苦手とすることなのですが、そもそも感情表現が希薄な人は何を考えているのか分かりづらいですよね。普段から素直に自分を表現しておくことにより、自分という人間が持つ価値観や考え方を他人に伝えることができます。元々、自分自身が考える自分と、他人が考える自分との間には“相互の誤解”が生じやすいのですが、感情表現が豊かな人はその誤解が生じにくいのです。その際に大切なことは、

 まず自分から開示する、つまりできるだけ自分の正しい情報を相手に伝えることが必要です。(中略)これが誤解される可能性を減らしてくれます。(P100)

原因を掴んだら対処法も見えてくる!

客観的に「潰れる人」と「潰れない人」の傾向の違いを把握することができたら、それがそのまま対処法に繋がります。要は「潰れない人」の言動や行動、又は思考を真似すればいいのです。とにかく何より大切なことは、閉じこもらないこと。内向きにならずに外向きになることが必要です。
この場合の外向きには、助けを求めることも含まれます。助けを求めるというのは「自分の弱さを曝け出す」ことであるため、マイナスなイメージがしてしまいます(実際僕もそう思い助けを求めることはできませんでした)が、著者はこの「助けを求める」ことは自分を守るもっとも適切な対処法だと述べています。

 まずは、声をあげること。自分の状況といまの気持ちを周囲に伝えてみる。そこから、周囲が動き出し、解決に向かうこともあります。そこまでいかなくても、同じように周りに悩んでいる人もいるのであれば、自分でけではないんだと心が少し軽くなる。これがストレスの受け止め方を変えてくれます。
助けを求めることは、決して弱い人間がすることではありません。むしろ、積極的な対応なのです。(P137)

また、助けを求める状況にまで至らない状況であれば、まずは、原因を知ることが大切です。例えばその原因が上司だとしたら、まずは、相手の言動の背後にある背景や真意を知りろうとすること。その上で、許せない又は自分にとって毒であると判断したのであれば、その人とは同じ土俵の上がらず、心理的に距離を置いたり、配置替えや転職など物理的に距離を置くことを考慮にいれると良いようです。
でも、特に会社での人間関係はホント難しいですよね。プライベートであれば関係を絶つことも可能ですが、仕事だとそうもいかないですしね。特に上司との関係がうまくいかないと心理的な負担は大きいですよね。僕も前職の直属の上司は非常に苦手でたが、本書に薦めるような行動を取らず、ひたすら自分のなかに溜め込んでいました。ただ、上司のダメ出しには、自分にとっては必要なものかもしれませんよね。その判断基準としては、著者は次のように述べています。

 ダメ出しした人から自分への愛情を感じられるかどうかで決まります。愛情をもって否定してくれる上司ほど貴重な存在はありません。(P120)

もちろん、時にはそのストレス原因と真っ向から立ち向かう必要もあります。その際に必要なのは、「潰れない人」の傾向でも挙げられたように、ブレない軸を持つことです。「自分にとってこれだけは譲れない!」という拠所は、様々な面で、自分自身を支えてくれます。

自分を守る力、それが「感情力」

「潰れない人」の傾向を知り、ストレスに対する対処法を身につけること、そして自分の中にブレない軸を持つことが大事であることは前述の通りですが、それでも強力な力により押しつぶされそうになることはあります。そんな時に大切なのが思考停止状態にならないこと、この自己の感情を良い方向に変えることができると、自分を守ることができます。
その“感じる力(感情力)”を高めていくための、4つのステップがあります。
①感じる力を取り戻す
まず、自分の「感じる力」が落ちていると感じたら、小さなことにも感動してみることが有効です。反対に無感情になることも一時的には周りをシャットダウンすることができるので有効な手段なのですが、長期的にみると良い方法とは言えないようです。

 無感情状態になると、自分のブレない信念や情熱をもとうと思っても、過去に経験した感動的な出来事もわからない、楽しかった経験すら分からなくなる。(P150)

正直に告白すると、僕はまだ現在、この段階にいるような感じです。まだ、うまく周りに感情表現をすることができないですね。腹の底から笑う、真剣に怒る、思いっきり泣く、今の僕に必要なのは平穏よりも感情の起伏なのでしょう。
②自分の感情と向き合う
「感じる力」が高まってきたら、次の段階は自分の感情と向き合うこと。これに有効な方法として「感情日記」が紹介されています。といっても方法は簡単。自分の感情は晴れだったか、曇だったか、雨だったか、素直に書き出し自分の感情を時系列で追っていくのです。例えば、

6/1 模擬試験でつまらないミスを連発して、落ち込んだ(
6/2 仕事で成果がでたが、特別嬉しくもなかった(
6/3 サッカー日本代表が快勝して、めちゃめちゃ嬉しかった(

という感じで、出来事と感情と感情天気を書き、それを1週間おきにその天気図の推移をみること。それにより、自分の感情を客観的に把握できるようになるのです。
③自分の感情を良い方向へ変える
自分の感情が見えてきたら、今度は自分の感情を他人からみても好感の持てるものに変えていくのです。つまり、自分を変えるということですが、これを性格を変えると考えると大変なので、まずは、行動パターンや考え方を少しだけ変えてみると考えると良いようです。
自分の長所を褒めてみる、ありのままの自分を肯定してあげる、この自分を認めてあげることが、自分を変えていくことにつながるのです。
って言われても難しいと感じますよね? でもこれを難しいと思うのは自分が褒めるに値しない人間だからということでは決してなく、単に褒める習慣がないからです。最初はシンドいと思っても繰り返し自分を褒めてあげ、その挙げたリストを後で見返してみれば「なんだ、俺って結構いいかも!」って思えるようになりますよ。
④自分を伝え、共感する力
最後に必要になるのが、自分の気持ちを人に伝え、共感できる仲間を作ることです。前述した「潰れない人」の傾向のなかに仲間がいるというのがありましたが、この誰かに自分を受け入れてもらうというのが重要なのです。
なぜなら、今までの3ステップで「自分もなかなかいいじゃん!」と思えるようになっても、まだ、自分の中だけのことだから、どこかに不安が残りますよね。そんなとき他人から「お前、なかなかいいじゃん!」と言ってもらえることにより自信が持てるのです。
そこで気をつけたいのが、相手に良く見てもらおうとすること。それでは現実的には逆効果になってしまうこともあります。ここで必要なのはお互いに価値観や本音を共有できる仲間だからです。
そのためには、次のことを意識しましょう。

 言葉で淡々と事実や原因を伝えるのではなく、それによって自分がどう困っているのか、どれほど悩んでいるのかを素直に伝えることが大切だということです。自分のありのままの感情を伝えるようにしてください。(P165)

この4ステップにより「自信がもてる自分」を作ることができます。


この「やれ彼(女)は勝ち組だ、彼(女)は負け組だ!」と常に誰かと比較され、頑張れ!もっと頑張れ!!と煽られる競争社会の中で生活していると、なかなか自分が褒められる経験が無いため、自分自身を認めてあげるということも難しいと思います。そして、自分自身を認めてあげられない人には、他人を認めてあげることはできません。それは、否定的なフィルターをかけて他人の行動を見てしまうからです。
筆者はこれを自分を潰す負のサイクルだといいます。逆に自分を大切にする人のサイクルは次の様になります。

自分を大切に扱う→自分を認められる→他者から認められる→自己肯定感(前向きな感情)→さらに自分を大切にする…。

ですから、何より自分自身がまず自分自身を認めてあげればいいんですよ。それが事態を好転させる「はじめの一歩」になるんです、きっと。僕もまだまだ完全復活までにはそれなりに長い時間が必要になるかと思いますが、本書で得たことをヒントにし、「あせらず、くらべず、あきらめず」と言い聞かせんがら「潰れない生き方」を身に付けたいと思います。
P.S.
最近「バカボンのパパ」の↓画像をiPhoneにいれて、何か嫌なことがあったりすると見て「それでいいのだ!」と声に出してみます。そうすると不思議に元気がでます(#^.^#)
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