まずは相手(心の病気)を知ること、それが第一_『14歳からの精神医学』By宮田雄吾

 先日の日経の記事『いじめ2割増、虐待も最多に 震災被災者の訴えも』の記事を読んでちょっと昔を思い出してみました。
 自分が中学生だった頃はどんなことを考えていただろうか?
 比較的平穏な公立中学校に通い、成績は上の中あたり、スポーツもそこそこできたが、これといって目立つタイプ(というか目立つのが嫌いだった)の僕は、3年の途中までは部活に明け暮れ、部活を引退すると高校受験に向けて必死に勉強をした、普通の学生だったと思います。
 それでは、僕のまわりでいじめってあっただろうか?
 僕の認識では「ノー!」です。いじめらしきものはなかったと思います。自分が誰かをいじめたこともないし、誰かにいじめられたこともない、と思います。そぅ、あくまで思うとしか言えませんが…。
 ただ、結構のほほんと生きてたような気がします。少なくとも「心の病気」などという話題は僕らの周りでは聞いたことが無かったし。しかし、時は経ち、いつの間にか、うつ病は一般的な病気として認知(あくまで認知)されるようになり、その他にも聞いたことがないような「心の病気」の病名が話題に上がるようになってしまいました。

14歳からの精神医学
14歳からの精神医学 宮田 雄吾

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 本書は、そんな「心の病気」とはそもそも何なのか? ということにスポットを当てた本です。「○○歳からの~」的な売れ線のタイトルや女子学生のイラストを表1にもってきた装丁は、中身の内容と比較すると若干「どうなの?」という疑問もあるが、まず手に取ってもらわなければ始まらないでしょう、という作り手の意図を考えれば致し方ないのかなぁ、と思います。
 肝心の内容ですが、比較的多くの人が聞いたことがあるような「心の病気」について、次のような展開で紹介されています。

中学生の事例にした発病までのエピソードを紹介

それはなんという病気か

何がきっかけで発病するのか

どんな治療をするのか

友達(親)がその病気になったらどう接すれば良いか

紹介されているうちのひとつ「発達障害」だとこんな感じです。

頑張り屋の優子はバスケ部の部長。周囲の部員の協力がなく孤立をするが、ある日測った体重の減少を「自分の練習の成果」だと思いさらに頑張って痩せようとする。体重は更に減り、食欲の抵抗に抵抗できなくなると、今度は隠れて大量にモノを食べ、それを吐くという、過食と嘔吐をくり返すようになった。

「摂食障害」主に「拒食症(=神経性無食欲病)」と「過食症(=神経性大食)」の2タイプがあり、この病気になるのは圧倒的に女子が多い。

原因の一つに「心理的な悩み」(バスケ部での孤立)が多いが、他にも社会のあり方(スリムな女性が魅力的)、本人の性格(頑張り屋)、身体的なこと、遺伝など、さまざまなことが複雑にからみあった発病する。

やせが進むと命の危険もある。体が衰弱しているときには点滴など身体的な治療が最優先。並行して医師やカウンセラーによりカウンセリングや「集団精神療法」「作業療法」を行うこともある。

①「なんで食べないの!」と責めたり、からかったりしない。
②体型や食事のことを話題にしない。
③医師みたいにふるまわないこと。

 紹介されている病気は、コラム的な軽い紹介を含めると「摂食障害」「社交不安障害」「脅迫性障害」「うつ病」「双極性障害」「統合失調症」「発達障害」「性同一性障害」などです。
 また、第2章「精神科でよくみる問題行動」のなかで紹介されている不登校、暴力行為、リストカット、多量服薬などの行動に関しても、上記の例にそって紹介されています。
 そして第3章「病気になりにくくするために」のなかで、「ストレスに強くなる」ことはできない。しかし、「ストレスを扱う“技術”を上達させる」ことで、多少ダメージを小さくできるとし、
①ストレス自体を減らす
例)部活を辞める、習い事を減らす、メルアドをごく親しいひとにしか教えない、など。
重要なのは、「すべての人と仲良くしようとはしない」こと。
②ストレスに耐える
例)自分の進路、など。
大きなストレスを受けた際に大切なのは、体を大切にし、休養をとる、つまり「きちんと寝る」こと。
③ストレスを受け流す
例)相手に頼む、教えてもらう、断る、グチる
といったストレスへの対応の仕方や、「思いつめない」ために、見方を変えたり、考え方の幅を広げたりすることの大切さ、また、「生きる意味を見つけること」が助けになると提案している。
 上記のように、本書は事例に中学生を使っていたり、友達や親がその病気だったら、という対処法が書かれていることからも、思春期の学生を一見読者対象にしているが、発売当初は日経にも公告が掲載されていたし、大人が読んでも結構読み応えがある内容になっていると思います。
「心の病気」が一般的に認知されてきたとはいえ、まだまだ、それは、例えば「うつ病」という名前が知られているだけであって、「うつ病」がどんな病気なのか、どう接すればよいのか、ということには、一般に人はまだまだ無知に近いと思います。
 ただ、それは致し方ないことです。それ程「心の病気」への対応の仕方は難しいのです。これは「心の病気」を抱えたパートナーを支えてきた、そして自分自身も心を病んだ僕が感じている実感です。ただ、それでも、それぞれの「心の病気」がどういうものなのか、ということを知識として知っていただけるだけでも、たいぶ「心の病気」に対する偏見のようなものはなくなるのではないかと期待しています。
 そういった意味でも、色々な世代のかたに読んでいただきたい書籍です。
 最後に、エピローグ「君の生きる意味を見つけよう」のところで、著者である先生が、ある中学生の患者の「なんで生きなきゃいけないの!」という問いに答えた言葉を紹介させてください。

「生きる意味がないと考えて生き続けるのは苦しい。だから『生きる意味があるか』という絶対的な心理を追い求めるより、『どう生きれば、生きる意味が生まれるか』を考えてほしい」

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